ADULT CHILDREN
父の車が反対車線を走り過ぎたのだ。
すぐにUターンして何台か後から隠れるようにして父を追った。
「ほらやっぱり死んでないじゃない。ふざけるなっていうのよ!」
母は怒りを露にしていたけど私は安心していた。
よかった。
お父さんは生きてる。
しばらく走った後、信号で並ぶと母が「さえこあんたお父さんの車に行きなさい」と催促する。
私がなぜ自分が行かなければならないのか聞く前に佐藤さんが「僕が行きます」と私と運転を変わり父の車へ走った。
父は案外すんなりとドアを開け、佐藤さんを助手席に乗せた。
父の車の後を追う。
これからどんな事が起こるのだろうとまた胸が締めつけられる。
覚悟を決めなければとハンドルを強く握りしめた。