ADULT CHILDREN
父と母に全く会話はなかった。


すべて私を通した。


お父さんにこれ聞いて。


お母さんにあれはどうするか聞いて。




その間に挟まれた子供の気持ちが二人にはわからなかったのだろう。



苦痛で苦痛でたまらなかった。



とにかく私は、父と母が同じ場所にいるわけにもいかないだろうからと父にしばらく家に来るように言った。


それは佐藤さんが私に先にそう薦めてくれた事だった。



父はしばらくの間申し訳ありませんがお世話になりますと佐藤さんに頭を下げた。



母は父がうちに来ることに対してまた私に文句を言う。



「やっぱりあんたはお父さんの味方なのね」




父と母。二人の事を思いやって判断したのに。



母にはそれが通じない。
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