ADULT CHILDREN
母を避けていても祖母とは変わらず毎日顔を会わせていた。


母が仕事に行っている間にうちに来て、色んなことを教えてくれた。掃除をしてくれたり、疲れているだろうから少し眠りなさいと浩人を見ていてくれたり。

普通母親がするような事をすべて祖母がしてくれていた。



「ひ孫まで見られて幸せ」と笑顔を向ける祖母を見る事が私にとっての幸せでもあった。



そんな幸せも親によってすぐに消し去られてしまう。


父はお金を貸してくれ、保証人になってくれ、家賃が払えないから一緒に住んでくれないかとあの事件以来毎日のようにせびる。



母は私が居留守を使う事に腹を立て、私を苦しめて幸せか、おまえは父親に似たんだ、おまえのせいで私は今苦しんでいるんだとすべての責任を私になすりつけるように言っていた。



どんなに避けようとも、すべてを避ける事ができない。


私は一生親に苦しめられて生きなければいけないのか。


親が年をとれば、私が面倒を見なければいけないのか。


そうなったら浩人に確実に悪影響が出る。


こんな環境では確実に穏やかな心で子供を育てる事はできない。

そう確信した。
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