ADULT CHILDREN
しかし、その借金は父のように遊びでできたものではない。

自分で事業を始めるから開業資金を貸して欲しいと祖母から数百万円を借りていたのだ。

そして事業はすぐに失敗。


借金だけが残り、母の妹はまた祖母に借金を返済するためにお金を借りた。



おかげで祖母が老後のためにと貯めていた貯金はすべてなくなり、母の妹はその後パートのみで収入が激減。自分ひとりが食べていくので精一杯で母に祖母の事を見て欲しいと頼んだらしい。



実家で私達と住むようになってから祖母は本当に働き者だった。


家の掃除は埃一つなく完璧に仕上げ、毎日朝昼晩とご飯を作り、父の制服のアイロンをかけ、朝早くに弟と父と母のお弁当を作り。



休む暇なんてなかっただろう。


自分が生活の負担になれば母に文句を言われるからと夜は8時前に布団に入り、テレビも暖房も冷房もない部屋で眠り、朝の5時に起きて母にコーヒーを入れる。



まるでお手伝いさんだ。


それでも祖母は文句ひとつ漏らした事がなかった。

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