ADULT CHILDREN
「まだ修平もいるんだし、休みのたびにお金を使わなくてもいいんじゃないの?」
父との離婚後休みの度外出する母に一度だけ言ったことがあるらしい。
「あんたは黙ってて。この家の主は私なんだからあんたは黙って家の事をしてくれてればいいのよ」
母に言われた言葉を口にしながら祖母は電話の向こうで泣いていた。
涙ひとつ見せたことのなかった祖母が初めて見せた弱さに私も涙する事しかできなかった。
「私が悪いのよ。私がいけなかったの」
祖母はそれでも自分を責めた。
誰のせいにもせず、ただ自分のせいだと。
母が悪いのではないと。
そう聞かされても、私には理解できなかった。