ADULT CHILDREN

その日から彼は毎日深夜12時になるとやってきた。


最初はこんな時間に…
とも思っていたけど、毎日話しているとそんな事も気にしなくなっていて。


退屈な日常に現れた彼と過ごす二人だけの時間は特別なものだった。

次第に私はまた
彼への想いを蘇らせていた。


二股をかけられたとわかっているのに。

好きになったらまた傷つくかもしれないのに。


頭ではわかっていても
心だけが独り歩きして、どんどん彼に夢中になっていった。


だけど告白する勇気はなくただ時間だけが過ぎて
彼は数週間が経ったある雨の日、
それまで毎日同じ時間に来ていたのに突然姿を見せなくなった。

次の日も。
その次の日も。

彼は来ない。


夜の12時を過ぎると苦しかった。
彼が来ない間、嫌な事ばかりが浮かんだ。


また彼女と寄りを戻したのかもしれない。

新しい彼女が出来たのかもしれない。


そんな事ばかり。


そして、彼が来なくなってちょうど7日が過ぎた夜。




< 66 / 719 >

この作品をシェア

pagetop