ADULT CHILDREN


それが私の見た父の姿。


少し痩せ白髪混じりで年老いたようにも見えた父。


葬儀が終わって落ち着いた頃、父が漸く仕事を見つけ働き始めたと修平に聞いた。



それまで毎日お酒を飲みテレビを見ていただけの父も、母がいなくなり修平を見る自覚が芽生えたのかと少し安心した。



そして修平から父の事を聞いた後、父本人からメールが届いた。



『お父さんもやっと仕事が見つかりました。働く時間が長いけど頑張るよ』



随分と父と連絡を取っていなかった。
父に『お金をくれないさえこは必要がない』というような事を言われてからは、とにかく電話もメールも無視し続けていた。



なのに父はこんな風に私にメールを送ってくる。



何もなかったかのように。

< 697 / 719 >

この作品をシェア

pagetop