ADULT CHILDREN
傘をさしていても濡れてしまう程の激しい雨。
彼は傘を地面に置き、滑る足元に手こずりながらも踊り場まで上ってきた。
「冷て…」
「風邪ひいちゃうよ?」
「会いたくなったから来た。すぐ帰るよ」
雨の音で上手く声も聞き取れない。
私は一度部屋に入って家族が寝ているのを確認して彼に中に入るように言った。
大丈夫だと拒む彼に、私は半ば強引に上がるように言って彼はその押しに負け部屋の中へと入った。
5畳程のスペースに、勉強机とベッドがあるだけの狭い部屋。
濡れている彼の肩からバスタオルをかけて
親がいつ来ても大丈夫なように電気を消し
ベッドの隅に二人で身を縮め小さな声で話をした。