ADULT CHILDREN
コウは自分の住む町を案内してくれた。

海が近い田舎町で何もないところだったけど
コウがガイドしてくれたおかげで退屈しなかった。


「ここは俺ん家」


「ここは小学生の時の秘密基地」


「ここが妹が通う小学校」


色んな事を教えてくれた。
沢山歩いて疲れているはずなのに、そんなの全然感じなかった。



「さえこだけに俺の秘密の場所教えてやる!絶対誰にも言うなよ?」



そう言ってコウが連れてきてくれたのは、海沿いの道。


「ここが秘密の場所?」


どう見たって秘密の場所じゃない。


「そう!ってそんなわけないじゃん!」


コウはいきなり海の方に近づくとひょいっと飛び降りた。



「ちょっ…」


海に飛び込んだのかと思ったらコウは顔だけ出して


「びっくりしたっしょ!?」


悪戯に笑う。



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