You are Loved by me.

◆すれ違い

「一目惚れぇ？ナイナイ。」

「えー？絶対あると思うって！」


　
一目惚れなんて、綺麗事だと思う。
…てゆーか、自分の体験談からして、一目惚れにはいい思い出がないから。


　
「琴美って、恋愛には冷めてるよねー」

「そう？別に…普通じゃん？」


　
あたし…―春菜 琴美は、よく友達から“恋愛に冷めてる”と言われる。
自分では普通の感覚も、周りの人とは合わないみたいで。

でも、よくよく考えれば、確かに冷めてるのかな
とか思ったりもする。


　
「あたしだって、普通の感覚ってのを味わいたいよ…」

「そんなの琴美次第じゃない？」


　
くるくるの毛先をいじりながら、あたしの目の前の机に座る子…
御門 凛。

ちゃらちゃらしたように見えても、心はすごい優しくて、
あたしの１番の理解者。

つい最近、１年近く付き合ってた彼と別れたばっかで
現在の口癖が「彼氏欲しい」の一言。


　
「でも…“あんなこと”があったら、恋をしようにもできないよね…」

「…うん。」


　
“あんなこと”

思い出したくもない、忌まわしい過去。


今から２年前、あたしは最愛の人を失った。