You are Loved by me.
放課後、あたしたちは掃除当番をサボって学校を抜け出した。
掃除なんてダルイからやってられないし、何よりも外の空気を吸いたくなったから。



「つーかさ、琴美がサボるの珍しいね」

「そう?あたしだってサボるときはサボりますよ。」



制服姿で、街へと繰り出すあたしたち。
目の前の信号は赤。



「カラオケでも行く?」

「えー、あたしお腹空いた!」

「食べすぎは太るぞ~」

「琴美に言われたくないし!」

「何それ~!」



2人で笑いあって、青になった信号を渡り始める。



「こういうとこでさ、すれ違った人と恋に落ちたら、すごいことだよねぇ…」

「ありえないね。すれ違う人なんて、1回きりでしょ?」



すれ違う人は、どこの人かわからない。
すれ違った場所から家が遠い人なんか、尚更2度と会わないかもしれない。

仮に近かったとしても、2度も会おうとするのは正直いって、大変なことだと思う。



「2度も3度も会うことができたら、それは奇跡っていうか…運命だよね。」

「琴美の口から運命なんて…!明日は雨!?」

「なっ…失礼な!」



何度も何度も会うことができるのなら、それは運命だと思う。
恋じゃなくても、そうやって定められていたのかもしれないし、
これからの人生に重要な人なのかも知れない。

あたしはいつもそう思って、すれ違う人に意識なんてもたなかった。




けど…この時は違った。
 
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