You are Loved by me.
「ねぇっ!あの人カッコよくない!?」

「え、どれよ?」



凛が目を輝かせて指をそっと指した先には、170センチぐらいの長身の学生。

いかにも「チャラいです」って格好をしてる。



「あー、ナイナイ。あーいうチャラいのは無理。」

「祐樹先輩が爽やかな人だったから、琴美にはあーゆーの無理そう。」



恋をしようと思えなくなったから、理想とかはないけれど。
友達に勧めるなら、やっぱり「爽やかな人」。



「凛は あーいうの好きそうだね?」

「超カッコいいじゃん!」



…わからない。
どこがいいのかさっぱり分からない!



あたしたちとすれ違うまで、俯き加減だったその人は
すれ違う少し前に、ふっと顔をあげた。


…あれ…?



「顔あげたらめっちゃイケメン!」



少しつり上がった二重の目に、右わけの前髪。
高めの鼻。



「え……祐樹…?」

「は?」



あたしがボソッといった言葉に、凛が反応した。



「琴美、何言ってんの?祐樹先輩なわけ…って、琴美!?」



祐樹だと勘違いしたあたしは、その人を追いかけて走っていた。

…祐樹はいないのに。
 
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