You are Loved by me.
さっき2人で立っていた横断歩道の始めまで戻って、
その人の服を掴んだ。



「あのっ!」

「あ?」



ぐるっと後ろを向いたその人は、最愛の人とは全くの別人で。



「…ぁ…い、や…なんでもないです。人違い…でした…」



つり上がった目が、あたしを見下ろして睨みつける。
あたしは急いでその場から逃げようとした。


…のに。



「ちょっと待てよ」

「きゃっ…!」



逃げようとしたとき、その人があたしの腕を掴んだ。
あたしはビックリして振り返る。



「あの…っ…」

「お前、名前は?」

「へ?」



初対面の人に、いきなり「名前は?」って聞かれたら
もうどうしようもないあたし。

頭がとにかくパニクってしまった。



「えと、あの、その…」



どうすればいいのか全くわからないあたし。
とにかく名前をっ………



「琴美っ!何してんの!」

「り、凛!?」
 
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