好きだと言えなくて。
す なおになれなくて。
「彩姫はさ、好きな人、いないの?」
「はっ!?」
なんだかよくわからないけれど、自習になった政経の時間。
聞くところによると、誰かが問題を起こした、とか。
まぁ関係ないんだけど。
みんなで机くっつけて、そのうえに広げたお菓子を囲んでお喋りに没頭している中。
あたし、三浦彩姫(ミウラ サキ)は、一世一代のピンチに陥っていました。
「彩姫綺麗だもんねー?
まぁ確かに金髪ビミョーだな、と思ったことはあるけど」
「でも毎日見てると案外似合ってるような気もするよねー」
「彩姫顔立ちハデなんだからメイクもーちょいマシにすれば金髪似合うんじゃない?」
「で、結局彩姫好きな人いんの?いないの?」
なんか散々な言われような上に、それたと思った話もそれてないし…。
あたし、なんか可哀想な。
「ねぇ、彩姫」
詰め寄る友達から目をそらし、隣の礼をチラッと見ると、にんまり、と効果音が付きそうなくらいの笑顔を見せた。