好きだと言えなくて。
女子たちの悲鳴も一瞬やんでしまうくらい綺麗に、綺麗に笑ってみせた叶は、あたしを抱きしめたまま、礼を見据える。
「叶ちゃん、やるぅ♪」
礼は礼で、くだらないこと言ってるし。
叶は、礼が、大嫌いだ。
ようやく平静を取り戻したあたしは、叶に疑問をぶつける。
「なんでここにいんの」
「てか、彼女、て」
いまいち状況が飲み込めてないあたしも、さっきよりは、大分マシ。
叶の、ガラス玉みたいな大きな瞳を覗く。
…相変わらず、ムカつくくらい綺麗な、大好きな瞳を。
なんでわかんないの、とでもいうようにあたしを見つめた叶は、やっと腕を解いて、あたしの机に腰掛けた。