好きだと言えなくて。
帰り道。
大分家の近く、小さい頃から、何度も、何度も一緒に通った道に差し掛かった辺りで、あたしは、今日のことをやっと叶に訊ねた。
叶によると、
「楽しくサボタージュしようとしてたら、ちょうど彩姫のクラス自習みたいだったから」
らしい。
どういう神経してんだコイツ、と思うところだが、なんだかんだでもう15年も一緒にいるあたしとしては、悲しきかな、いちいちそんなこと思っちゃいられない。
叶に聞こえないように溜息をつくと、ケータイのバイブに気付く。
着信は、弟。