あまいの。
「…ごめん」
─深夜0時すぎ。
何通ものメールを無視し、何度も俺を呼ぶ電話のコールにも答えず、何もかもうっとおしくなって電源を切ったところで…先ほどの玄関のチャイム。
ドアを開けると、やっぱりそこにはしょぼんと泣きそうな顔をした沙耶がいた。
「ごめん、耕正。ごめんね。」
謝罪の言葉。
ソレ、もう聞き飽きた。
「もうせえへんから…」
だからそれも、何回も聞いたわ。
お前の言うことはほとんど嘘になるんやから、もういい加減、信じられへん。
…このいい加減な世の中でなかなか改善できないのは、年金問題やら少子化だけじゃない、と思う。
沙耶の浮気癖は、いつまでたっても治らない。
そしてそれを隠すのもド下手。
…だってなぁ。
彼氏のバイト先に、"ついうっかり"違う男と手を繋いでのこのこやって来る彼女がどこにおるねん。
…ココに居るし。
ほんま、笑えへん。