あまいの。
「…もう、せえへん?」
「うん…っ、」
「絶対?」
「…ん、絶対」
「次はない」
「…うん」
「神に誓って、言える?」
「…耕正に、誓う。」
潤んだ大きな二つの瞳に、俺の姿が並んで写る。
それが滲んでこぼれる前に…強く、沙耶を抱きしめた。
…この不安定な世の中でなかなか解決できないのは、就職率や国際問題だけじゃない、と思う。
俺が沙耶に対して甘すぎるのは、いつまでたっても治らない。
そしていつも無限ループで繰り返してる。
…だってなぁ。
彼氏の前で、「ついうっかり」違う男とくっついて写ってるプリクラを披露する彼女を許す男がどこにおんねん。
…ココに居るし。
ほんま、笑えへん。
きっと俺たちの関係は、どうしようもなく不安定。
未来なんて、全然見えへん。
フラフラあてもなく漂って、つついたらすぐに弾けてしまう。
目の前の沙耶の涙を拭って、キツく噛みしめている彼女の唇に指をあてる。
キュッと結ばれた口元が緩んで、その様子が可愛らしくて…なんだか少しだけ、こぼれる笑み。
そのままそっと、キスをした。
…そっと。
乱暴に触れて、パンってはじけてしまわぬように。