Life Get Of Past
「親父は、俺の事全然見てくれない。どうせ、俺はグローヴァー家の道具なんだろ!」

 それだけを大きな声で言うと、ルイスは部屋を飛び出して行った。ルイスがいなくなると、残った二人は見合わす。

「レナート様、彼はああ言っていますが?」

「予定通り、明日は婚約の打ち合わせをする。ルイスは嫌と言っているが、王には逆らえないだろう」

 レナートは書類を整えながら、そう話をした。それに了解を得たのか、継母の方は渡された書類を抱え、その部屋を出た。

「ルイス、貴様にも直ぐにわかるだろう。世の中は、そう上手くいかない、簡単には歩いていけないという事がな」

 そう呟くと、レナートはやり残した書類を片付ける為に再び筆を取ったのだった。
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