Life Get Of Past
「なあ、母様。俺、本当にあいつと結婚するのかな。俺、あいつらの言う通りに出来ないよ」

 そう思うのは、ルイスの母がグローヴァー家にとって良い者ではないと、継母に言われて来たからだ。

 ルイスが最近知った事だが、母は家事用人という立場だと言うのに、グローヴァー家の子供を身籠もった。その子供がルイスという訳だ。

 だから、父親と予てから婚約を結んでいた継母にとって自分の母は邪魔者だったらしい。そして、その母の息子であるルイスも彼女にとっては邪魔者に過ぎないだろう。

 それに、邪魔者だと思ったのは継母だけではない。高貴な身分を誇るグローヴァー家は、家事用人――下級平民の身分である母親、そして片方の血が下級平民であるルイスを快く思っていない。

 だから、母は周りから何かしら文句を言われていた。自分さえ身籠もらなければ、家事用人として働き続け、母は文句を言われなかったのかもしれない。
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