Life Get Of Past
「えっと、あのその……」

 ルイスは、考えが浅はかだったと思った。よくよく考えれば、この抜け道の秘密はルイスだけの物では無かった。

 確か、今と同じように抜け道から外へ出ようとした頃だった。丁度ベッドを動かした時、イオンが部屋に入って来たのだ。その時は、イオンと一緒に外へ出る事に成功し、何とかバレずに済んだ。

「なあ、イオン。今回も見逃してくれないか?」

 と、ルイスはイオンに交渉を始める。今回もというより、今回だけは見ていながら知らない事にして貰わなければ困るのだ。何と言ったって、自分の運命と夢が懸かっているのだからだ。

「駄目です。ルイス様、お部屋にお戻り下さい」

 しかし、イオンは前の様に見逃す事はしなかった。寧ろ、絶対に見逃す事はしない様だった。彼の黄緑色の瞳がそれを許さない。
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