Life Get Of Past
「何で見逃してくれないんだよ? 前は、見逃してくれたじゃんか!」

「前は昼だから、です。日のないフォッグ城下や外の町は、高い身分の貴方が出歩くには危険過ぎます」

 フォッグ城下、そしてその郊外ではゴロツキ共がその辺を歩いているという。そんな町を、シュヴァルツ三大貴族に数えられるグローヴァー家の子息が出歩いてみよう。悪い時には、人質に取られてしまう。

「それに、今日は大事な日ですよ。一つ忠告しますが、今日は逃れる事が出来ても、その大事な日は何度も訪れるでしょう」

 確かに、今日免れたとしてもあの両親の事だ。そして、この事は家同士の意思だけでなく、王の意思も重なっている。何度も、面談の話はやって来るだろう。

「イオン、それでも俺は屋敷には戻らない。戻ったら、俺じゃ無くなりそうなんだよ」

 夢を追いかけず、貴族として暮らす方が現実的と言えるだろう。しかし、夢を失うという事は何もせず時を悠長に過ごすという事だ。そんな人生は、ルイスにとっては面白くないのだ。
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