Life Get Of Past
「それに、イオン。お前は俺専属の護衛奉公人だろ? 俺の言う事を聞けよ!」

「残念ですが、ルイス様」

 イオンは溜め息を吐き、ルイスを見据える。その見据える瞳が、ルイスにとっては冷たく見える。

「僕は貴方の専属の家来ですが、それ以前にグローヴァー家の家来でもあります。だから、僕は貴方だけのものではありません」

 その言葉を聞いた瞬間、ルイスの脳内がガラガラと音を立てながら、ルイスが考えていたイオンの存在を壊していく。ルイスにとって、イオンは信頼する人物で、位の差が無ければ大切な友人だと考えている。

 だが、イオンの先程の言葉を聞くと、イオンはルイスの事をただの主人と見ていたように聞こえる。それが、ルイスに寂しさを与える。

 更に、ルイスに焦りを与える事が起きたのだ。屋敷に、家事用人らしき人物が自分の名を呼んでいる。ルイスが屋敷にいない事を、知ったのだろう。次第に、家来達の声も合わさっていく。
< 24 / 45 >

この作品をシェア

pagetop