Life Get Of Past
「だから、その旅の間だけでもと思ってさ」

 旅の間に、堅苦しい言葉は入らない。ルイスはこの旅を楽しいものにしたいらしい。その志が伝わったのか、イオンは返事をした。

「わ、分かりました……じゃなくて、分かった、ルイス様」

「ルイスで良いよ」

「それでは、ルイス……」

 彼に仕えてから、早七年。この七年間、ずっと敬語というか堅苦しい言葉遣いで、意思の伝達をしてきた。それが、今日を堺に親しみの言葉遣いに変わってしまう。

「や、やっぱりまだ慣れません」

「ま、多分旅は長くなると思うし、ゆっくり慣れれば良いんじゃないかな」

 ふと正面を見ると、スピナッチとツツジの集落を案内する看板が見える。イオンはついにここまで来てしまったのかと、再び溜め息を吐く。
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