Life Get Of Past
 そうこう考えている内に、道の側に並んでいた竹薮が段々と少なくなっていっている。もう少しで集落に着くのだろうか。ルイスはその嬉しさに心を弾ませると、歩く速さを高めた。

「あ、あれは?」

 ルイスの背後を歩くイオンは、木で作られた建物達と影二つを見つけた。近付いてみると、影がこちらに向かって歩いて来ている。

「あっ、カイさん!」

 影の正体は、ルイスが師匠と呼んで仲良くしているカイと、空色の長い髪を持つ女だった。黒い髪を一つに結んでいる青年――カイと女は、近付いて来るルイスとイオンを歓迎した。

「ルイス、お前は抜け出すのが習慣になってるな」

 カイは微笑を交わしながら、そう話す。勿論、ルイスにとっては良い話では無い為、ルイスは頬を膨らまし、そっぽを向く。

「カイさん、こんにちは」

 イオンも、剣術の師匠であるカイに挨拶を交わす。ルイスの背後にいるイオンを見るや、カイは一瞬だが驚いた表情でイオンを眺める。
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