流れ橋
そう言って、ふわふわしている

頭をなでた。

その夜。

田中俊は、なかなか寝つけなかった。

彼の家は、駅から徒歩1分にあるマンション。

ここからだと、電車の音が聞こえてくる。

ガタン、ガタン、ガタン。

「これは、終電かな・・」

今日は、電車の中で有川藍子をみかけた。

何ヶ月ぶりだっけ。

見つけたの。

今日は、目があったな。
卒業以来だな、目あわせるなんて・・

有川は、いつもひとりで電車に乗っている。
いつも、外ばかり見ている・・

「なのに今日は、下ばっかり向いてたっけ、なんでだろ?」僕は、呟いた。

中学を卒業してからも、

僕は、神崎川と上田とは仲よかった。

いつも、一緒に電車に乗っていたが

今日は、たまたま二人も用があって一緒じゃなかった。

二人とも野球部に入っている。

神崎川は、部活のキャプテンをやっているまとめ目だ。

上田は、野球部のエースで、女子に

人気があった。おまけに、

高校入ってから、すでに6人は

彼女が変わっていた。
最近も、また彼女が変わっていた。

「いやなやつ。」


一週間前、僕は、1年間付き合った彼女と

別れたばかりだった。
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