流れ橋

「えっ、呼んだ？」朋子もわたしと同じで、暑さで頭がぼぉっとしているようだった。

「わたしさ、やっぱり花火大会に行くのやめようと思って。」わたしは、太陽の光が眩しくて顔をしかめた。出来るなら、こんなこと言いたくなかった。今まで、こんなにドキドキしながら、花火大会を楽しみに待つなんてありえなかった。
何だかんだ、言いながらもわたしは、みんなと花火大会に行きたかった。でも、それは叶わない夢だった。
わたしは、このことについて、これ以上考えたくなかった。昔から、わたしは、そうだった。自分が望んでいることが、目前にくると、いつもわたしの手の届かないところにいってしまう。今は、つらいけれど、そのうち慣れてくるはずだ。わたしは、自分を励ました。

「藍子、そういうと思ってた。今回のことは、誰のせいでもない。仕方ないことなんだよ。花火見に行こうよ。」朋子は、立ち止まりじっとわたしの目を見て話をする。