流れ橋
わたしは、首をふった。「なんか、行く気がしなくなっちゃったんだ。本当にごめん。」
「藍子があやまることじゃないよ。気持ちは、分かった。みんなには、私から伝えておくから。でも、やっぱり一緒に花火みたいな。私、あの花火から元気もらってた。こんな時だからこそ、藍子に、あの花火見てほしいって思ってるんだよ。」朋子の目から涙が溢れたように見えた。そして、急に視線を外して、

「藍子、今は、テストに集中しよう。花火のことは、もう少し待って。お願い。」

そういって、急いで、わたしの後ろにまわり背中を押して学校へ歩いて行こうとする。なんか、彼女の優しさは、胸の深いところにしみこんでいく。

「本当にごめん。」わたしは、あやまることしかできないでいた。
わたしはただ、背中をやさしく押してくれる力に逆らわず、学校の中へ歩いていくことで、精一杯だった。

とうとう2日目のテストが始まった。今回、わたしは、今までにないくらいの集中力で、問題を解いていった。
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