流れ橋
「やっぱり、みんなで行きたいねって、言ってたよ。元気がない時こそ見てほしいってね。気分転換にもなるし。」朋子は、いった。
「ありがとう。うん、考えてみる。わたし、みんなに心配かけてるね。それに、田中くんにも。」わたしは、いった。

「最初は、朋子と二人で花火見に行きたかった。今だから話すけど、ずっと苦手だったんだ田中くんのこと。」わたしは、朋子に卒業アルバムのことを話し始めていた。過去のキズをいつまでも引きずってる自分が情けなかった。それで、誰にも話す気は、なかったのに。
でも、今はどうしてか分からないけれど、わたしは、素直になれていた。

朋子は、真剣な顔でわたしの話を聞いてくれた。「知らなかった。そんなことがあったんだ。上田、最低な奴だよ。」

わたしが、話終ると朋子が怒り声をあげている。

「そんなさ、意地悪なことするような人に見えなくてさ。わたし、すごくショックだったんだ。
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