流れ橋
でも、上田は、きっと覚えてもいないと思うよ。だから、悔しいんだ。」わたしは、いった。

「藍子、あいつはそういう奴だよ。昔から外面だけは、よかったもん。藍子が誰にも話さないって分かって書いたんだよ。いんけんな奴だよ。」朋子の声は、冷たかった。

「だからさ、田中くんも同じだと思ってたんだ。ほら、中学の時、二人仲良かったでしょ。だから、田中くんも上田と一緒になってわたしのこと、笑っているんだって思ってた。」わたしは、帰り道に咲いている雑草に目をやった。

「でも、わたしの勘違いで田中くんは、とてもいい人だった。わたしがお店で、泣いてた時もやさしく助けてくれたりしてさ。」わたしは、話した。

「わたし、本当は恥ずかしかったんだ。ずっと。田中くんに卒業アルバムみられたこと。だから、花火一緒にみに行きたくないって言ったんだ。朋子、本当にごめん。」

朋子に、心のキズを打ち明けて、やっとすっきりした気持ちだった。
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