流れ橋
わたしは、父のいる病院にいそいだ。駅から、歩いてすぐだった。気温が高い外に比べて、病院の中は、クーラーがよくきいて涼しい。わたしは、父のいる病室を探した。つい昨日姉と一緒に来ていたが、すっかり忘れていた。

看護師さんに尋ね、やっと病室につくことができた。

父のいる病棟は、他の病棟に比べとても静かだ。

わたしは、なるべく足音をたてないようにそっと歩いていく。

父の病室についた。中に、入るとちょうど起きていて、点滴を打っていた。

「具合どう?」わたしは、いった。

「藍子、よく来たね。昨日より、まあまあだよ。」父は、ぼぉっとした表情をしている。薬が効いてねむいのかもしれない。

「着替え、持って来たんだ。洗濯物は、持って帰るから。」わたしは、テキパキと動き、なるべく明るく話した。

父は、 黙っている。目で、わたしを追って見ていた。

「昨日は、嫌な思いさせてごめん。迷惑かけたな。」
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