流れ橋
わたしは、夜が、好きじゃない。
時計の音、冷蔵庫の音
それから、ときどき遠くから

聞こえてくる車の走っている音。

不安になるのだ、聞こえてくると。

わたしは、そっと寝返りをうってみる。

壁をじっとみている。
そうすると、

あの言葉を思い出した。

【君は負け犬・・

やめよう・・思い出したくない

ベットから、無理やり体を起こした。

階段を下り、冷蔵庫の前まで行って

ジュースを飲む。

頭の中でここまで、想像してみる。

後は、実行に移すのみだ。

勇気をだして、藍子。
気合いをいれて、階段を降りて行く。

その時、リビングの部屋に明かりがついているのが見えた。

わたしは、そぉっと、
部屋が見える所まで

階段を下りる。

部屋を覗いてみるとそこに、

父がまだテレビを見ていた。

父の背中がここから見える。

「ふぅ。」

ため息がもれた。

わたしは、またそぉっと階段を上っていった。

なんか、泣きたくなっていた・・

ベットに入って、天井を見つめる。

涙があふれてく。

ふと、ある歌詞を思い出した。

大好きな一青窈の曲。
「世界は、何のためにあるのか。仕様がないことだらけならば・・」

ここまで、小さい声で歌ってみた。

涙がとまらなかった。
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