流れ橋
波の音と花火の音を交互に聞きながら花火を見上げる。

この波の音が、何とも心地よくて不思議な気分にさせられた。

この花火のように、全ての美しいものは、この世には、一瞬しか存在しない。

その瞬間の美しさを波の音が、何度も思い出させてくれるようで、
わたしは、懐かしい気持ちと切ない気持ちで胸がいっぱいになった。

この海辺の花火大会は、毎年、梅雨明けの平日にあった。

そういうことで、ほとんど、地元の人間しか来ない。

わたしは、この小さくて大きなイベントが大好きだ。

人を呼ぼうと思えば、いくらでも呼べる。すぐ、隣は、政令指定都市である。

夏には、あちこちから、サーファーが、わんさかやってきていたし。

休日に行えばきっと・・・人で浜辺が埋め尽されるだろうに。それなのに。

きっと、きっと、この町の人みんな、わたしと同じ気持ちなのかなと思った。

つまり、町を上げて、大切にされている、花火大会なのだ。まぁ、単に人が来たら、それだけ警備や運営費が大変なだけかもしれないが・・(笑)

わたしの夏は、毎年この花火大会を迎えてから、やってくる。

この町に住んでる以上は、花火を見なければ、

夏は、やって来ないのである。
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