流れ橋
送信
真夜中、わたしは、卒業アルバムを両手に持ったまま、自分の部屋の真ん中で、一人座りこんでいた。

わたしは、中学時代にタイムスリップしたかった。もう一度あの頃に戻ってやり直したいことが、できたのだ。
なぜ、あの時、上田の寄せ書きを先に見たんだろう。田中くんのを先に見ておけば。

ううん。これで、よかったのかもしれない。神様は、もう一度だけチャンスをくれたではないか。わたしは、そう思った。田中くんと、もう一度出会うチャンスをもらった。

わたしは、もう一度、田中くんが中学時代にわたしに書いてくれた寄せ書きを見た。


「僕は、ずっと応援してます。だから、負けないで下さい。あなたが好きです。田中俊」
声にだして読んでみる。心臓が痛くて、たまらない。こんなことは、生まれてはじめての経験ではないか。

ここに、はっきりと告白されているのに、わたしは、もう二度見たくないと、押し入れに封印してしまっていた。
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