流れ橋
「先輩と俊くんって、お互いの家が近所で、二人は、幼なじみらしいよ。」

「藍子、今年は、みんなで一緒に行かない?わたしは、先輩とも行きたいけど、藍子とも行きたいの!」

朋子は、鼻を膨らませてそういった。

朋子にそう言ってもらって、わたしも嬉しくないはずはなかった。
でも。一人余計なやつが・・。

わたしは、彼には、もう会いたくなかった。
卒業アルバムのことを思い出すからだ。

彼は、きっとアルバムを見たに違いない。彼も一緒になって、わたしのこと負け犬よばわりしていたら・・

そんなことを考えると、田中俊には、恥ずかしくてどうしても会えないと思った。

ふと、彼は何を考えているのだろうと思った。

いくら、先輩と幼なじみとはいってもだ。

朋子とは、ともかく。わたしと田中俊は、まったく話したことなかったのだから。

そうよ。何か、話した会話を思い出そうとしても・・・ダメだ。

全然浮かばない。

わたしは、首を左右にふる。髪がボサボサになっていく。

「朋子の気持ちは、嬉しいけど。わたし、一緒に行けないよ。」

「何で?」朋子は、大声できいてくる。

「だって、全然話したことないんだよ、田中俊くんとは。」
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