流れ橋
だけど、田中くんの卒業アルバムの寄せ書きのことは、朋子には秘密にしていた。

今は、まだ話せないでいた。

「さっきから先輩に、メールしてんだけど、返事くれなくて。」朋子はだいぶ、落ち込んでいるようだ。

「大丈夫だよ。」わたしは、朋子に何度もいった。

それから、駅につくまでの間、倉石さんのことを話した。

「倉石さん、悔しくてそういうこといったんだよ。けど、私は、ムカつくよ、許せない。」朋子は、腕組している。

だけど、わたしは、非難されても言い訳はできなかった。倉石さんのいったことは、本当のことだからだ。

外にでる時、そういう目にさらされることもよく知ってるし、わたし自身が、後ろめたい気持ちになるのだ。

でも、これは、倉石さんだけのことではない。近所の人だってそうだし、そういう視線を気にしない強さもいる。

「わたしは、大丈夫だよ。誰に誤解されても、わたしのこと心から、信じてくれる人がそばにいてくれるから大丈夫。」
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