流れ橋
わたしは、言った。

「それもそうね。変な話ね。」そういって、お母さんは、おかしそうに笑っている。

「スーパーが、三途の川か。」お父さんも、微笑んでいた。

そして、自然とわたしも笑っていた。

それから、しばらくしてわたしとお母さんは、病院を後にした。病院の帰りの電車の中、母が遠くの景色を見ながら言った。

「藍子、お父さんのこと、助けてくれてありがとう。お母さん、なんか頑張れそうよ。」
「どうしたの、急に。あれは、偶然だよ。たまたま発見が早かっただけで。むしろ、スーパーに行かなくて、真っ直ぐ帰っていれば、未然に防げてたかも。」わたしは、唇を噛み締めて言った。

「それは、違うと思うわよ。さっき、お父さんがいってたでしょ。藍子とお父さんは、本当にお互いを見たのよ。だから、お父さんは、帰って来れたのよ。」お母さんは、優しい目をしている。

「そんなことって、本当にあるの?」わたしは、窓の外の大きな夕焼けを眺めながら言った。
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