流れ橋
2年前。中学卒業式の日。


わたしたちは、まだ


教室に残っていた。


親友の山下朋子は、


「クラス全員に書いてもらったよ。見て。」

と、アルバムを差し出す。


「全員とは・・・さすが朋子。」


わたしは、朋子の


行動力と交友関係の


広さに感心した。


「藍子は?見せて。」

朋子が覗きこんだ。


「女子ばっかりじゃない。男子にも書いてもらいなよ。」


そういうと、ある男子グループに


向かって歩いて行った。


彼らは、神崎川昇。


上田隼人、田中俊。

クラスでも目立つ存在だった。


「これ、藍子の。何か書いて。お願い。」


朋子は、かわいく頼んでいる。


わたしは、ドキドキした。


「別にいいけど。」


「了解。」


彼らは、うなずき


アルバムに何か書いてくれた。


「ありがとう。よろしくね。」


そういって、朋子はわたしの

方に走ってきた。


「よかったね。アルバムは、藍子が取りに行くんだよ。」


わたしは、今まで


男子の誰とも、まともに

話したことなかった。

好きな人は、いないことも


なかったのだが、
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