流れ橋
続けてわたしは、力強く話した。

「朋子と先輩はいいけど、わたしと田中俊くんって、相手も気まずいでしょ。」そういって、首を大きくふった。

「そんなことないよ。」朋子は、笑いだした。

「先輩から聞いたんだけど、俊くんは、行くっていったらしいよ。それに・・」突然、声が小さくなった。

朋子の顔がわたしに近づく。

「俊くん、彼女と最近別れたらしいよ。」

朋子は、意味ありげな顔でこちらをみている。

わたしは、突然、周波数の合わないラジオみたいになっていた。

彼女は、今、先輩に恋をしている。

世界のすべてのことを恋愛に結びつけて考えていた。

アイツがなんて言っているか知らないが、とにかく関わりたくない一心だった。

髪はふり乱れ、ぼんやりとしているわたしを、

朋子はじっと見ていた。
藍子、最近ホントに痩せた。

きっと、わたしには言えない悩みをかかえているのだろう。

今日、藍子の家に入るとき、異様な雰囲気が漂っていたっけ。

藍子、詳しく話してくれないけどお父さんのことで大変なのかもしれない。

「藍子、一緒に行こうよ。俊くんのことは、かえるだと思って。ねぇ、お願い」

そういうなり、朋子は、いきなり土下座した。
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