流れ橋
わたしは、散歩に連れていってもらえない蘭ちゃんが、可哀想に感じた。仕方ない・・その辺に置いてあるジーンズとシャツに着替えた。

家は、しんとしている。まだ、誰も起きて来ない。

わたしは、そぉっと階段を下りて外に出た。
蘭ちゃんは、嬉しそうに吠えている。

真っ白で、ふさふさの毛なみ。蘭ちゃんは、雑種だけど、この辺では一番かわいい犬だった。

ちょっと、親ばかになった気分がする。
それにしても、朝はやく散歩することは初めての体験で、わたしは、ちょっと緊張して、蘭ちゃんのリードを強く握った。

わたしは、蘭ちゃんをお供に、いつもの散歩コースを歩き出していた。
いつもの散歩コース。
それは、まず、田んぼをひたすら真っ直ぐに歩いていく。

その先に、小さい川が流れていて、その両側を
車が通ることができない小さい橋がかかっている。

そこまで行き、折り返して帰るコースだ。

まだ、朝の5時。

辺りを見渡すと、人っこ一人いなかった。

わたしは、急に大きく深呼吸した。

少し、冷たい風がふいていた。
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