流れ橋
朋子は、缶ジュースをわたしに渡して、ポケットから携帯を取り出した。

「さっき、藍子追いかける途中に先輩にメールしたんだけど。」朋子は、メールをひらいている。

「駅着くちょっと前に、返信が来たんだ。やっぱり、あの二人、別れたらしいよ。田中くんから、別れたいっていったみたいだけどね。」朋子は、携帯をポケットにしまう。

「でも倉石さんは、別れたくなかったみたいだね。わたしのこと誤解してたみたいだし。」わたしは、いった。
「彼女、花火大会行くからって言ってたしね。田中くんのこと、ストーカーするつもりかな。どう思う?藍子。」朋子は、心配そうだ。
「どうしよう。こんな大げさなことになるとは思わなかったよ。わたしは、ただ、朋子の恋がうまくいけばいいと、それだけだったのにさ。」思わず下をむいてしまう。

朋子は、ごめんと小さく頭を下げた。

「とにかくさ、このこと先輩に相談してみるよ。当日は、彼女に会わないように頑張ろう。私達、地元人だよ。地理は、彼女より詳しいし。」
< 52 / 201 >

この作品をシェア

pagetop