流れ橋
その通りだ。花火大会の場所は、小さいころから通っているので、知りつくしている。

人目のつかない場所とか、時間帯とか。なんだか胸の中で、ドキドキ感が増している。

「そうだね。地元だもの。なんとかなるよね。」わたしは、朋子を見た。

朋子もわたしを見ている。「この何日間、忙しいそうだね。」わたしがいった。

「きっと、忘れられない花火大会になるよ。」朋子は、ウインクした。

わたしは、おかしくて笑った。笑いすぎて、お腹が痛くなってくる。こうなったら、何でも来い精神だ。これを乗り越えたら、この先、何か変ることがあるだろうか。ふと、思う。

そうか。わたしには、変身願望があったんだ。あの時、負け犬って書かれて以来、わたしは、何か変わりたかったのだ。それは、自分自身のことなのか、環境のことなのかは、分からないけれど。

わたしは、ずっと変わりたかった、何かに。
この何日間が過ぎても、何も変わることはないかもしれない。
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