流れ橋
クーラーが効いている店内で、わたしは、全身から嫌な汗がでていた。

わたしは、店内をくまなく探したが父親はいない。 この短時間で、そんなに遠くへは、行けないのに。どこへ行ったんだろうか。

父親は、心が病んでいる。もしものことがあれば・・・。

誰に、助けを求めたらいいのか。わたしは、途方にくれていた。

涙が溢れだしてとまらない。

我慢すればするほど、涙がこぼれて落ちてくる。

段々、店内がざわついてきた。

わたしの泣く姿があまりに普通じゃないため、店の中にいる人がわたしの周りに集まってきたのだ。

どこを探せばいいのか、そればかりが頭をかけめぐるのだ。

その時、「大丈夫?」両肩に柔らかい手の感触がした。

振り向いて見ると、田中俊がわたしの顔を心配そうにのぞきこんでいる。

「どこか、具合が悪いの?とりあえず、外にでようか。」

わたしは、いわれるまま外にでた。

外は、蒸し返るような暑さだ。

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