流れ橋
「藍子、着いたよ。」
目を覚ましたら、家に着いていた。なんだかとても疲れ果てていた。車を出ると、少し気分が悪かった。

「大丈夫?顔色が少しよくないよ。」そういって姉は、カバンを持ってくれた。

「少し、寝たら大丈夫だよ。あ・・」玄関に入ろうと、入口にまわったら、そこにわたしの自転車が置いてあった。

田中俊が、わざわざスーパーから持って来てくれたのだ。

自転車のカゴの中に、白い紙が入っていた。
わたしは、姉に見られないように、急いで紙キレをとり、ポケットにしまう。

わたしは、ふと思い出したことがあった。そういえば、二階の両親の部屋の仏壇の前に、封筒が置いてあったっけ。

「お姉ちゃん、後で一緒に仏壇とこ行かない?」わたしは、一人では、あの部屋に入って行けない。

「何で?あ、そうか。その部屋にいたんだっけ。」お姉ちゃんは、玄関でヒールをぬいで廊下を歩いていく。
気軽に話ながらも、後ろ姿がこわばっているように見えた。
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