流れ橋

お姉ちゃんは、しばらく封筒を見ていたけど、わたしに封筒を渡した。「第一発見者の藍子が開けてよ。」

まったく、こんな役まわりだけ、わたしにまわすなんて。

「わたし、そんな勇気ないよ。」わたしは、封筒を突き返す。

「いいから、あけて。早く。」姉は、目をつり上げている。

わたしは、仕方なく封筒を受けとり、手紙を読んだ。

みんなへ

今まで、たくさんの迷惑をかけてごめんなさい。

お父さんは、死にます。みんな、お元気で。
どうか、お父さんの分まで一生懸命生きてください。

ではまた。


わたしは、一気に読んで姉に渡した。お父さんの分まで、一生懸命生きてだなんて。なんか、腹立たしい。でも、切なくて胸がいっぱいになった。

お姉ちゃんも「何これ。」何か、不満気だ。
それと、手紙の最後に、ではまた。と書かれていた。この言葉。

なにか妙に引っ掛かった。

手紙を読みかえしていると、家の電話がなった。