流れ橋
「おじいちゃんが亡くなって、家の近くの田んぼ、全部売った時があったでしょ。覚えてる?」姉は、窓から見える暗い海をながめている。

わたしは、しばらく首を傾げていたが、何となく思い出すものがあった。

確か、おじいちゃんが死んだのは、わたしがまだ小学生の時だった。水害にあって半年ほどたった寒い日だった。お風呂場で、倒れていたのをお母さんが発見して急いで、病院に運んだけど、それから何日か過ぎて亡くなった。

亡くなった年の次の年。おじいちゃんが、耕してた田んぼを知らない人がやっていた。

あの時、みんなに聞いたけど、はぐらかれてちゃんと答えてくれなかったっけ。

「思い出したよ。そんなことあった。でも、それが今度のことと、何か関係あるの?」わたしは、たずねた。

「私もお父さんが病気になって分かったんだけど。家には、かなりの借金があったの。私らの両親がそれに気が付いたのは、おじいちゃんが亡くなった後だったらしいよ。」
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