流れ橋
わたし達は、真っ直ぐ家に帰った。

姉は、疲れたからと言って、あっというまにお風呂に入り、気がつけば、「勉強すんのよ。」と一言だけいって、さっさと寝てしまった。

独り残されたわたしには、テスト勉強という逃れられない悪夢が待っている。

どんなに疲れていても、ここで、ねむってしまったら去年同じ運命をたどってしまうではないか。

思い出せ、わたし。昨年の地獄を。ここは、気合いで乗り切るしかない。つまり、徹夜だ。
徹夜に備え、お風呂に入ることにした。面倒なことは、さっさとすませるのだ。先伸ばしにすればするほど、面倒になり、結局入らないということになる。
真冬なら、何とかなるかもしれない状況だ。でも、今は初夏。聞こえはいいけど、要するに、暑苦しい汗をかく。

わたしは、着替えようと思いながらポケットに手を突っ込んだ。

んっ?中に、紙切れが入っている。ひらいて読んでみた。それは、田中俊からだった。
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