流れ橋
(いろいろ大変だろうけど、頑張れよ。田中俊。)とだけ、書かれてあって、その下の方に、携帯の番号とメルアドが書かれてあった。

今の今まで、この紙切れのこと、いや田中俊のことをすっかり忘れてしまっていた。

あんなにお世話になっておきながら、である。どうしよう。今から、電話した方がいいだろうか。しかし、時間が遅い。それに、直接話をするなんて、緊張する。ダメだ。できない。

しかし、このままだと悪いし、わたしはしばらく考えに考えた。

メールを送ろう。それがいい。
わたしは、携帯をポケットから取りだしメールを送る。

(こんばんは。自転車、ありがとう。後、いろいろ迷惑をかけてごめんなさい。お父さんは、処置が間に合って助かることができました。本当によかった。田中くんが、助けてくれたからだよ。本当にありがとう。感謝しています。ではまた。有川)

メールの文面を何度も読み返した。これで、いいかな。
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