Dear... Love
過去の亀裂





―バタン―


何も履かず
走り出した。


10年後の今あたしは
アイツから
悠斗から逃げるため
必死に走り続けた。



暴力であたしを
縛り付ける悠斗から…





頬は赤く腫れ上がり
Tシャツから
見える腕には
赤紫色のあざが
いくつもできていた。




こんなに
怖がっているのに
あんなに
傷ついたのに
あたしはいつも
悠斗の元へと
帰って行く。




自分でも不思議に思う。



だけどあたしは
悠斗の幼い頃の
痛みを知っていたから、

全ての始まりは
あたしが
きっかけだから、

悠斗から
離れちゃいけない
気がした。





外に走り出した
あたしは
一歩、一歩
マンションへと
戻ってきていた。





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