空はなぜ青いのか
『確かにそうだね。じゃあ、克己も誘おうか』
「克己も男だろうが」
『あ、ばれた?』
アホか、と笑ったところで、服の裾が引っ張られる感覚がしたので目線を下ろすと、怒られてしばらく静かにしていた子供達が痺れを切らしたようにこちらを見つめている。
「あー・・・じゃあ、そろそろ切るわ」
『そうだね。じゃあ、拓美。しっかり子供達の面倒見るんだよ』
「あぁ、朝比ちゃんにもよろしくな」
回線が切れる音を聞いてから、携帯を閉じてズボンのポケットしまう。
「よし。今日は何がしたいんだ?」
その声をきっかけに子供達が騒ぎ出す。
あれがしたい、これがしたいと騒ぐ子供達を見ながら、平和だなぁなんて柄にもなく思った。








俺が住む沢神楽村は、他の村よりは随分と裕福である。
一家に1つはしっかりと畑があり、商店街にはそれぞれが育てた野菜や果物、海や川で取れた魚や貝。喫茶店や診療所まである。
山の上には学校もあり、村の中なら携帯もなんとか通じる。
だから自然と人が集まり、今では村としては日本一の人口を誇っている。
しかし、日本一と言っても精々200人程度だ。
もともと、反アルベイン派の人間は少数である。
そこで問題になるのは、家の手伝いができないほど幼い子供達の面倒だ。
学校が終わり、家に帰っても親は畑仕事で忙しいし、下手に遊ばしておけば大事な機械や資源に傷をつけかねない。
そこで、高校生と中学生はそんな子供達の面倒を見させられることになるのだ。
高校生と中学生は合わせて6人。
その中で、家の手伝いをしなければならないのが2人。
残りの4人で2人組を作り、ローテーションで10人の子供達の面倒を見ることになる。
たとえ2人と言えども、一度に10人の子供達の相手をするのは辛い。
それなのに今日は俺1人だ。
とうぜん








「あああ・・・疲れた・・・」
こうなる。
「拓美にーちゃん大丈夫?」
日が暮れて、子供達をそれぞれ家に送って行き、最後の一人である男の子が心配そうに俺を見上げる。
「あぁ、大丈夫だ。それにしてもいつもお前らのパワフルさにはやられるぜ」
< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop